厚生労働省から、自治体が使っている「介護保険システム」の全国共通ルールについて、新しい省令や告示が公表されました。
簡単にいうと、自治体ごとにバラバラになっている介護保険システムの機能や帳票などを、できるだけ全国で同じ仕組みにそろえていくためのルールです。
今回の通知では、介護保険システムに必要な機能や帳票の基準、いつまでに新しい基準へ対応するのかなどが示されています。
現在、介護保険に関する仕事は市区町村などの自治体が行っています。
そのため、介護保険の資格管理、保険料の計算、要介護認定、介護サービスの給付などを管理するためのシステムも、自治体ごとに使われています。
しかし、自治体ごとにシステムの作りや機能が大きく違うと、システムの開発や変更に多くの費用がかかったり、自治体同士で情報をやり取りしにくかったりする問題があります。
そこで国は、自治体の情報システムを全国でできるだけ同じ仕組みにする「標準化」を進めています。
今回、その一つとして「介護保険システム」の正式な標準化基準が定められました。
新しい基準では、介護保険システムが持つべき主な機能についてルールが定められています。
例えば、次のような仕事をシステムで管理できるようにすることが求められます。
つまり、自治体が行っている介護保険の主な仕事について、全国で共通して使えるシステムのルールを作るということです。
システムの機能だけではなく、システムから出力する申請書や通知書などについても基準が決められています。
対象には、例えば次のような書類があります。
介護保険では非常に多くの書類が使われていますが、こうした帳票についても全国共通のルールに近づけていくことになります。
今回の標準化では、単に「このような機能があればよい」というだけではありません。
システムの機能について、「必ず実装するもの」「システムを作る会社が実装するか判断できるもの」「実装してはいけないもの」といった区分も定められます。
また、それぞれの機能や帳票について、いつまでに標準へ合わせる必要があるのかという「適合基準日」も設定されます。
これにより、自治体やシステム会社が同じルールをもとに介護保険システムを整備できるようになります。
すべての自治体がすぐに新しいシステムへ切り替えられるわけではありません。
現在使っているシステムの事情などにより、すぐに標準化することが難しい自治体については「経過措置」が設けられています。
一部の機能や帳票については、対象となる自治体の適合基準日を令和11年4月1日とする特例が設けられています。
また、標準化への対応が特に難しいシステムを使っている自治体については、それぞれの状況に応じて新しい基準を適用する日が設定されています。
今回の資料では、自治体によって令和9年4月1日、令和10年4月1日、令和11年4月1日、令和12年4月1日、令和13年4月1日など、異なる適用日が示されています。
対象となる自治体や詳しい適用日は、厚生労働省の資料をご確認ください。
今回の通知で直接の対象となっているのは、主に市区町村などが利用する「介護保険システム」です。
そのため、この通知が出たことで、介護事業所がすぐに自分たちの介護ソフトを変更しなければならないという内容ではありません。
ただし、自治体側のシステムや帳票が順番に新しい標準へ変更されていくため、今後、介護事業所が自治体へ提出する書類や、自治体から受け取る通知書などに変更が出てくる可能性があります。
自治体や介護ソフト会社からシステム変更や帳票変更のお知らせがあった場合は、内容を確認しておくとよいでしょう。
今回の介護保険最新情報 Vol.1533では、自治体が利用する介護保険システムについて、全国共通の標準化基準が正式に定められました。
ポイントは、システムの機能だけではなく、申請書や通知書などの帳票についても共通ルールを定めたことです。
一方で、すぐに標準化することが難しい自治体については経過措置が設けられており、自治体によって新しい基準が適用される時期が異なります。
介護事業所にすぐ大きな作業が発生する通知ではありませんが、今後、自治体の介護保険システムや帳票が順次変更されていくことになります。
介護事業所としても、自治体や利用している介護ソフト会社からのお知らせを確認しておくことが大切です。