出典:厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1532」


掲載日:令和8年7月31日


介護保険の負担を決める基準が変わります

厚生労働省は、介護サービスを利用する人の負担額や、負担を軽くする制度の事務処理について、一部のルールを変更しました。


今回の大きな変更は、所得が少ない人の負担区分を決めるときに使う年金収入などの基準額が、令和8年8月1日から引き上げられることです。


この通知は主に市区町村の担当者に向けたものですが、介護サービスを利用している人や、その家族にも関係する内容です。


何が変わるの?

これまで、一部の負担区分を決める基準額は、年額80万9,000円でした。


令和8年8月1日からは、この基準額が年額82万6,500円に変わります。


  • 変更前:年額80万9,000円以下
  • 変更後:年額82万6,500円以下
  • 開始日:令和8年8月1日

令和7年に支給される老齢基礎年金の満額が、年額82万6,500円になったことに合わせた変更です。


年金収入などが80万9,000円を超えていても、82万6,500円以下であれば、これまでより負担の軽い区分に変わる可能性があります。


どの制度に関係するの?

今回の基準額の変更は、主に次の2つの制度に関係します。


  • 介護サービスの1か月の自己負担額をおさえる「高額介護サービス費」
  • 介護施設などの食費や居住費を軽くする「特定入所者介護サービス費」

介護サービスを利用したときの基本的な1割、2割、3割という負担割合を、全員まとめて変更するものではありません。


所得が少ない人の負担上限額や、施設の食費・居住費の軽減区分を決めるための基準が見直されます。


高額介護サービス費とは?

高額介護サービス費は、1か月に支払った介護サービスの自己負担額が上限を超えた場合に、超えた分が支給される制度です。


上限額は、本人や同じ世帯の家族の所得によって違います。


世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金収入とその他の所得の合計が年額82万6,500円以下の場合は、次の上限額が使われます。


  • 世帯全体の上限額:月額2万4,600円
  • 本人の上限額:月額1万5,000円

老齢福祉年金を受け取っている人も、同じ上限額の対象になります。


実際に支給される金額は、利用したサービスや世帯の状況によって違います。詳しくは、お住まいの市区町村へ確認してください。


施設の食費・居住費を軽くする制度

介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院やショートステイを利用すると、介護サービス費とは別に食費や居住費がかかります。


所得や預貯金が少ない人は、市区町村から「介護保険負担限度額認定」を受けることで、食費や居住費の負担を軽くできる場合があります。


令和8年8月からの主な区分は、次のとおりです。


負担区分 年金収入などの基準 預貯金などの上限
配偶者がいない場合
第2段階 年額82万6,500円以下 650万円以下
第3段階① 年額82万6,500円を超え、120万円以下 550万円以下
第3段階② 年額120万円を超える 500万円以下

配偶者がいる場合は、それぞれの預貯金の上限額に1,000万円が加えられます。


判定に使われる年金収入には、通常の年金だけでなく、遺族年金や障害年金などの非課税年金も含まれます。


預貯金として確認されるもの

食費や居住費の軽減を申請するときは、本人と配偶者の預貯金なども確認されます。


主に次のような財産が対象です。


  • 普通預金や定期預金
  • インターネット銀行の預金
  • 株式、国債、地方債、社債などの有価証券
  • 投資信託
  • 金や銀など、価格を確認できる貴金属
  • 自宅などに保管している現金

借入金や住宅ローンなどの負債は、預貯金などの合計額から差し引くことができます。確認のため、契約書などの提出を求められる場合があります。


生命保険や自動車などは、原則として預貯金などの判定には含まれません。


申請するときに必要なもの

施設の食費や居住費の軽減を受けるには、市区町村へ「介護保険負担限度額認定申請書」を提出します。


申請するときは、一般的に次のような書類や情報が必要です。


  • 本人と配偶者の氏名や住所
  • 年金収入やその他の所得
  • 預金通帳や口座残高が分かる書類の写し
  • 有価証券や投資信託の残高が分かる書類
  • 市区町村が金融機関へ確認することへの同意書

市区町村は、申告された預貯金などの内容を確認するため、必要に応じて銀行や証券会社などへ問い合わせることがあります。


申請方法や必要書類は市区町村によって異なる場合があるため、申請前に担当窓口へ確認しましょう。


負担区分は毎年確認されます

高額介護サービス費や施設の食費・居住費の負担区分は、原則として毎年8月1日に見直されます。


前年の所得や年金収入、現在の世帯状況などをもとに、市区町村が新しい負担区分を決めます。


引っ越し、結婚、離婚、家族の死亡などによって世帯の状況が変わった場合は、年度の途中でも負担区分が変わることがあります。


所得や世帯の情報に間違いが見つかった場合は、過去にさかのぼって負担額が計算し直され、差額が返金されたり、追加で支払いを求められたりすることがあります。


今回の変更で影響を受ける可能性がある人

特に影響を受ける可能性があるのは、世帯全員が市町村民税非課税で、本人の年金収入などが年額80万9,000円を超え、82万6,500円以下の人です。


これまでより負担の軽い区分に変わり、高額介護サービス費の上限や、介護施設の食費・居住費が軽くなる可能性があります。


ただし、本人の収入だけでなく、世帯の課税状況、配偶者の所得、預貯金なども合わせて判定されます。年金収入だけで対象になるとは限りません。


まとめ

令和8年8月1日から、介護保険の負担区分を決める一部の基準額が、年額80万9,000円から82万6,500円へ引き上げられます。


この変更により、所得が少ない一部の人は、高額介護サービス費や施設の食費・居住費について、これまでより負担が軽くなる可能性があります。


対象になるかどうかは、本人や家族の所得、世帯の課税状況、預貯金などによって決まります。


詳しい条件や申請方法については、厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1532」を確認するか、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口へお問い合わせください。