出典:厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1437」
掲載日:令和7年11月10日


特別養護老人ホームでの診療と報酬の関係とは?

厚生労働省は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホームなど)で行われる医療行為に関する「報酬の給付調整」について、正しい理解を広めるために新しいリーフレットを作成しました。
この資料では、介護保険と医療保険の両方が関係する診療のルールを、わかりやすく説明しています。


介護施設での医療は「介護報酬」で評価される

特別養護老人ホームでは、入所者の健康管理や療養上の指導を行うために医師(配置医師)を置くことが義務づけられています。
この配置医師が行う診察や健康管理は、すでに「介護報酬」に含まれているため、「初診料」や「再診料」などの医療報酬はもらえません。


外部の医師が診る場合は医療報酬が使えることも

配置医師ではなく、外部の医師が診る場合には次のような条件で医療報酬を算定できます。
・緊急時(急な体調変化など)に往診したとき
・配置医師の専門外の病気を診たとき
・がんの末期や看取り(最期のケア)の場合
このような場合、「初診料」「往診料」などが医療保険から支払われます。


協力医療機関との連携が大切

介護施設内で対応できない医療が必要になったときは、「協力医療機関」との連携が重要です。
施設は、急変時に相談や診療、入院を受け入れてもらえる医療機関と連携体制を作る必要があります。
また、月1回以上の会議(カンファレンス)を開き、入所者の情報共有を行うことも求められています。


実際の例で見る報酬の違い

① 特養内での診療:
配置医師が風邪などを診察する場合は、介護報酬で評価されます。薬や注射の費用のみ医療報酬で扱われることもあります。

② 外部医師の往診:
夜間や休日に体調が急変し、協力医療機関の医師が往診した場合は、「往診料」や「緊急往診加算」が算定できます。

③ 専門外受診:
皮膚のけがなどで皮膚科医を受診した場合は、「初診料」や「処置料」などの診療報酬が算定できます。

④ 看取りの場合:
がん末期などで特養内での看取りを行うときは、「在宅患者訪問診療料」や「看取り加算」が算定できます。


まとめ:介護と医療の両立を理解しよう

特別養護老人ホームでは、日常の健康管理は介護報酬で、特別な診療は医療報酬で扱われます。
どちらが支払われるかは、誰が、どんな状況で診療したかによって変わります。
正しいルールを知ることで、介護と医療の連携がよりスムーズになり、入所者が安心して暮らせる環境づくりにつながります。


詳しくは、厚生労働省の資料をご覧ください。
厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1437」(PDF)