職員の人材育成や就労環境等の改善につながる介護事業者の取組について、都道府県が基準に基づく評価を行い、一定の水準を満たした介護事業者に対して認証を付与する制度である。
介護職員の離職の主な理由としては、職場の人間関係の問題や、結婚、出産、育児等、事業所の理念・運営のあり方が挙げられるが(※)、本制度により、介護事業者の人材育成や人材確保に向けた取組の「見える化」を図ることとなり、介護事業所の働きやすい環境の整備、業界全体の取組のレベルアップとボトムアップを推進し、介護職を志す者の参入や、介護職員の離職防止、定着促進が期待されるとともに、介護業界のイメージアップに繋がることが期待されるものである。
※ 平成 29 年度介護労働実態調査介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書によると、介護関係の仕事をやめた理由として、①職場の人間関係に問題があったため(20.0%)、②結婚・出産・妊娠・育児のため(18.3%)、③法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため(17.8%)が割合の上位を占めている。
本制度の目的は、介護事業者による、職員の人材育成や就労環境等の改善につながる自発的な取り組みを推進しながら、その取り組みを求職者に分かりやすく示し、地域全体で介護人材の確保・育成を図ることです。
No. | 本制度の主なポイント |
1 | 人材育成や就労環境等の改善に着目している |
2 | 介護事業者の自発性を前提としている |
3 | 取り組みの推進と並行して見える化を行う |
4 | 評価結果を活用するのは求職者である |
5 | 一事業者に留まらず地域全体で魅力を発信する仕組みである |
No. | 介護事業者の管理者や従業員から見た効果 |
1 | 自主的な取り組みの促進 |
2 | 職場満足度の向上 |
3 | 働きやすい事業者としてのイメージ形成による新規入職者の獲得 |
4 | 持続的で質の高い事業経営 |
5 | 一事業者に留まらず地域全体で魅力を発信する仕組みである |
No. | 求職者から見た効果 |
1 | 正確で具体的な情報を収集でき、事業者を選ぶ際の判断をしやすくなる |
2 | 自分のキャリアアップや働き方の意向に合った介護事業者を選びやすくなる |
3 | 自分に合った介護事業者を見極める際の観点や評価軸を得る |
No. | 都道府県や関係機関・団体から見た効果 |
1 | 地域における介護事業者のロールモデル(目指す姿)の共有 |
2 | 介護事業者の魅力を伝える機会の増加 |
3 | 養成施設や大学などの進路指導の強化 |
4 | 介護事業者との双方向のコミュニケーションに基づく取り組みの企画・改善 |
4 | (業界全体の)ボトムアップの効率化 |
都道府県が作成する基準に基づき評価を行うので、各都道府県で評価項目はそれぞれ違います。
ウェルケアの調査では、評価の分野として「組織運営」「労働環境」「人材育成」の大きく3つに分類されるかと思われます。
評価分野 | 評価項目 |
組織運営 | 法令遵守の取り組み |
理念の明確化、周知、浸透 | |
組織内コミュニケーションの活性化 | |
地域との交流・協働・連携の取り組み | |
労働環境 | 労働条件の明示( シフトの種類、就業時間、休憩・休日休暇の種類など) |
人事制度(明確な給与・昇進・昇格・職位職責に応じた処遇等に関する基準体系)を定め,職員へ周知し共有 | |
休暇取得推進・労働時間縮減のための取組(働き方改革、ロボット・ICT導入, DX化等による) | |
母性健康管理、育児・介護と仕事の両立支援に関する取組 | |
健康管理の取組 | |
人材育成の取組 | 新規採用者に対する育成計画の作成と共有 |
職位・職責を明確にしたキャリアパスの導入 | |
キャリアパスに沿った資格取得支援の取組 |
評価基準と同様、運用方針も各都道府県で違いがあります。
運用方針(見受けられる運用方針パターン) |
認証や評価は行わず、働きやすい職場づくりに取り組むことを宣言する事業所を公表する「宣言方式」 |
条件を満たした事業者に対して認証を与える「認証方式」 |
条件を満たした事業者に対して認証を与えるが段階がある「段階認証方式」 |
事業者が取組の宣言をする必要があり、宣言後の取組状況により認証を与える「宣言認証方式」 |
事業者が取組の宣言をする必要があり、宣言後の取組状況により段階的に認証を与える「宣言段階認証方式」 |
※段階認証は、各都道府県で取組継続期間や取組内容など様々な条件で設定されている
都道府県 | 実施状況(※) | 関連HP | 運用方式 | 認証優遇措置(※) |
北海道 | 実施 |
認証評価制度実施事業について 北海道働きやすい介護の職場認証制度 |
認証方式 | |
青森県 | 実施 |
青森県介護サービス事業所認証評価制度 |
参加認証方式 | 有 |
岩手県 | 実施予定なし | |||
宮城県 | 実施 |
みやぎ介護人材を育む取組宣言認証制度について 宮城介護人材確保協議会 みやぎ介護人材を育む取組宣言認証制度 |
宣言段階認証方式 | |
秋田県 | 実施 |
介護サービス事業所認証評価制度 |
認証方式 | |
山形県 | 実施 |
やまがた介護事業者認証評価制度について |
宣言認証方式 | 有 |
福島県 | 実施予定なし | |||
茨木県 | 検討中 | |||
栃木県 | 実施 |
栃木県介護人材育成認証制度 |
宣言段階認証方式 | |
群馬県 | 実施 |
ぐんま介護人材育成認証事業者の認証について |
宣言認証方式 | |
埼玉県 | 実施 |
埼玉県介護人材採用・育成事業者認証制度について |
宣言段階認証方式 | 有 |
千葉県 | 検討中 | |||
東京都 | 実施 |
TOKYO働きやすい福祉の職場宣言事業 |
宣言方式 | 有 |
神奈川県 | 実施 |
かながわ認証制度 |
宣言段階認証方式 | 有 |
新潟県 | 実施 |
介護事業所トリプルアップ宣言事業 新潟県トリプルアップ宣言事業所 |
認証方式 | |
富山県 | 実施予定なし | |||
石川県 | 実施 |
いしかわ魅力ある福祉職場認定制度の概要について |
宣言認証方式 | |
福井県 | 実施 |
ふくい介護人材育成宣言事業所について |
宣言方式 | |
山梨県 | 実施 |
KAIの国やまなし魅力ある介護事業所認証評価制度 専用ホームページ |
宣言認証方式 | |
長野県 | 実施 |
信州福祉事業所認定・評価制度の概要 |
宣言認証方式 | 有 |
岐阜県 | 実施 |
岐阜県介護人材育成事業者認定制度 「ぎふ・いきいき介護事業者」について |
宣言段階認証方式 | 有 |
静岡県 | 実施 |
静岡県働きやすい介護事業所認証制度について |
認証方式 | |
愛知県 | 実施 |
愛知県介護事業所人材育成認証評価事業 公式ホームページ |
段階認証方式 | |
三重県 | 実施 |
みえ働きやすい介護職場取組宣言事業所 |
宣言段階認証方式 | 有 |
滋賀県 | 実施 |
しが介護職員定着等推進事業者登録制度 |
認証方式 | |
京都府 | 実施 |
きょうと福祉人材育成認証制度とは |
宣言段階認証方式 | |
大阪府 | 実施予定なし | |||
兵庫県 | 検討中 | |||
奈良県 | 実施 |
事業所認証制度概要紹介 |
認証方式 | |
和歌山県 | 実施予定なし | |||
鳥取県 | 実施 |
鳥取県介護人材育成事業者認証評価制度について |
認証方式 | |
島根県 | 検討中 | |||
岡山県 | 実施 |
おかやま☆フクシカイゴ職場 すまいる宣言 |
段階認証方式 | 有 |
広島県 | 実施 |
ふくし かいごネットひろしま |
段階認証方式 | 有 |
山口県 | 実施 |
やまぐち働きやすい介護職場宣言 |
宣言方式 | 有 |
徳島県 | 実施 |
徳島県介護人材育成事業者認証評価制度 |
認証方式 | |
香川県 | 検討中 | |||
愛媛県 | 検討中 | |||
高知県 | 実施 |
高知県介護人材応援サイト |
認証方式 | 有 |
福岡県 | 検討中 | |||
佐賀県 | 実施 |
さがケア |
認証方式 | 有 |
長崎県 | 実施 |
Nはーと |
認証方式 | |
熊本県 | 実施予定なし | |||
大分県 | 実施 |
ふくふく認証 |
宣言認証方式 | |
宮崎県 | 検討中 | |||
鹿児島県 | 検討中 | |||
沖縄県 | 実施 |
県内企業雇用環境改善支援事業 |
認証方式 |
実施状況(※) | 「検討中」、「実施予定なし」の都道府県については、「第三者評価制度」等類似の評価制度を既に導入済みであることが理由と考えられます。 |
認証優遇措置(※) | 認証ロゴの利用以外の具体的な優先権や優遇措置が告示されている場合「有」と表示しています。「有」が無い都道府県についても、優遇措置がある可能性があります。各担当へお問合せ下さい。 |